ドミニコラさんの問いかけに動揺が走った。


「な、なぜですか?」

「エスターさんがここにいるのがなによりの証拠だろう?それに、君の首輪。主の独占欲の現れじゃないか」


 ズバズバと指摘されて返答に困る。

 たしかに古城を去ったはずの私を再び受け入れて仕事までくれた。彼の私物を愛用しているのも事実だ。そばにいろだとか、愛おしいとも言われた。

 しかし、当の本人はモンペリエ国での一件から王都での公務が増えて古城を留守にしているし、チョーカーは首輪ではなく傷を隠すために貸してくれただけで独占欲などの深い意味はないと理解している。

 無意識にチョーカーへと手が伸びた。

 獣人の魔力に反応してヒトの姿と獣化で自由にサイズが変わるらしいが、人間の私にはなんの効果もなく、少し大きいのが逆に愛しいだなんて恥ずかしくて絶対に口にできない。

 そのとき、ドミニコラさんの観察していたフラスコの液体が固まりだした。彼はため息をついて眉を寄せる。


「失敗、ですか?」

「あぁ、この薬草も違ったみたいだ。やはり代替え品では難しいな」