雷に打たれたような衝撃がはしる。心臓が鈍く音を立てはじめ、点と点が線になってつじつまが合う。

 なぜ、使用人たちが私と陛下が婚約者同士である噂を信じ、白い獣を見かけるたびに震えあがっていたのか。


「ベルナルド様。お名前を教えてもらってもよろしいですか?」

「ラヴィス=ベルナルドだ」

「ラヴィス!」


 目の前の彼と友達のヴォルランが一致した。

 あのラヴィスが、姿を変えた陛下だったの?

 途端にドッと冷や汗をかく。


『本当に綺麗な毛並み。こんなに大きなわんちゃんは初めて見た』

『ベルナルド様が魅力的な人だからかもしれないけど、あんなに男の人とくっついて踊るなんて初めてで、どうしても緊張しちゃう』

『あの人は女心がわかってない』


 過去の自分の発言が喉を苦しめる。


『なぜ恥ずかしがる?あの獣の前では、頭を撫でたり抱きついたり、好き勝手やっているだろう』

『ラヴィスのことをおっしゃっているのですか?ベルナルド様とは全然違います。ペットのように可愛がっているんです』