確かに、どことなく面差しは似ている。似てはいるのだが、凛々しくも知的な目元も、すっと通った鼻筋も、さらりと揺れるヘーゼルナッツ色の髪も。何より全身から発せられる、目を覆いたくなるほどのイケメンキラキラオーラも。

 はっきり言って、「誰だ、おまえ」状態である。

 大事なことなのでもう一度言おう。誰だ、おまえ。

「おぬし。本当に、メリフェトスなのか?」

 今更ながら疑わしげに眉を顰めて、アリギュラはメリフェトス(仮)を胡散臭く眺める。すると男は、はっとして顔を上げた。

「信じられませぬか!? い、いえ、無理はございません。まさか私も、人間畜生の姿を御身の前に晒すことになろうなどと。ですが我が君! 私は間違いなく、貴女様の一の臣下、メリフェトスでございます」

「いや、しかし……。その姿では、信じようにも……」

 目をすがめて、アリギュラは口ごもる。自分だって人のことは言えないのは百も承知だ。アーク・ゴルドにいたときより身長も縮んだし、色んな意味で凄みが失われている。言うなれば、妖艶なる絶世の黒鳥が、ちんちくりんなひな鳥に逆戻りしてしまったかのような心もとなさだ。