胡散臭く微笑むイケメンに、アリギュラは慄きながらも考えた。聖教会が召喚した。この男はたしかにこう言った。つまり、アリギュラが今のような事態に陥っているのは、聖教会とやらのせいらしい。

(どうする? この男についていってみるか……?)

 悩んでから、アリギュラは腹を決めた。何はともあれ、今は情報が欲しい。幸いにして、勇者との死闘で枯れたはずの魔力は、いまや満タンに戻っている。いざとなればイケメンひとりどころか、この施設ごと一瞬で破壊できる。と考えるならば、ここはひとつ、この男の誘いに乗るべきだろう。

「聖教会の者とやら! あいわかった。わらわはおぬしに従おう」

えええー、と。不満げな声をあげたのは、先に声を掛けてきたイケメン三銃士たちだ。代表して抗議をしたのは、王子であるジークだ。

「聖女は我が国、いや、この世界の最重要人物だよ。王家が保護しても、なんら問題はないはずだけど」

「左様ではありますが……」

 困ったように眉を八の字にして、四人目のイケメンが問うようにアリギュラを見る。その示すところを瞬時に察し、アリギュラは食い気味に頷いた。