電話帳で杏奈を検索して、朝だということも忘れて電話をかけた。


耳に当てているスマホからはコール音がなり続け、最終的には“現在電話に出ることが出来ません”そう機械音が聞こえてくる。


たぶん、仕事に行ってしまったのだろう。


私はモヤモヤしたまま、スマホを手放す。


どうしよう。相談したいと1度思ってしまったせいか、家事をやろうとしても、手につかない。


お義母様に言ってみる?

ーーでも、お義母様はたぶん、普通に好きで結婚したと思っているだろうから、今更こんな相談は出来ない。


じゃあ、お姉様?相談はしやすいかもしれないけれど、爽介さんの事を救った人と勘違いされているから、なんだか言い難い。


やっぱり、杏奈の仕事が終わるのを待つしかないかなーー、そう思った時、この間挨拶した爽介さんの幼なじみの存在を思い出した。


たしか、名前はーー。

急いで部屋に行き、財布に入れたはずの貰った名刺を探し出す。



「村本さん!」