「うわ…」

思わず声を上げてしまった。

だって、ここ玄関のはずなんだけど、十畳くらいあるんじゃないかしら。

しかも天井が吹き抜けになっていて天窓から陽がさんさんと降り注いでいる。

正面には博物館にでもありそうな騎士の鎧。

そして胡蝶蘭が右にも左にも飾られている。

よく見れば右手にはルネッサンス風の油絵がかかっていた。

「なんか私、場違いな感じ」

立ち尽くしている私の手をとり、麻生くんが笑いかける。

「母さんの趣味なんだ、おかしいだろ」



麻生くんて何者なんだろう。

美形で成績優秀、そしてお金持ち。

しかも読者モデル。



なんで私なんかを勉強に誘ったんだろう。

変だよ。