それから何十回か、季節は巡って。



 ぶたさんは変わりました。 がっしりとした肉体、精悍な顔つき。 お日様の下で毎日汗を流し、辛い訓練を乗り越えたぶたさんはうっすらと浅黒く、「黒豚」の愛称で様々な人に愛されていました。

 もちろん、ここに至るまでの道のりは、並大抵のものではありませんでした。 ぶたさんを知っている誰もが驚きましたし、何よりもぶたさん自身が一番驚いていました。 自分にこんな根性があったなんて、それこそ夢にも思わなかった事です。

 国内最高を勝ち取ったぶたさんは、周りの反対を押し切り、単身海外へ輸出されていきました。 もう、あれから何年も経っています。 うさぎさんは夢を諦めているかもしれない。 もしくは全く別の地で頑張っているかもしれない。 ぶたさん自身、海外などに行かなくても、国内にいれば最高の評価を得たまま生活出来る。 それでも、行かずにはいられませんでした。 うさぎさんこそが、ぶたさんの原点だったからです。



 そして、不慣れな海外の地でまた何回目かの季節が巡ったある日、ぶたさんは遂に、うさぎさんと再会を果たす事が出来たのです。