夜の学校は静まり返っていた。
ここしばらくの死亡事件で昼間も閉鎖していて、人気が感じられない。
私と祐希は、暗い学校に忍び込んで廊下を歩く。
「なんかちょっと、怖い」
「死り神が襲ってきそうだな?」
「やめてよ!」
思わず隣を歩く祐希の腕を叩く。
「祐美、怖がりなのは昔っから変わってないな?」
「思い出した。祐くん、いつも怖がらせてきたよね?」
「そんな昔のこと、よく覚えてんな」
「すっごい怖かったんだから!」
懐中電灯を手に、私たちは教室に入る。
あちこち照らしながら、そこにあるモノを記憶していく。
『会いたい』
それは、明日のゲームに備えての準備だった。
一つでも多く、学校にあるモノを覚えていく。
どんな文字が来ても困らないように。
「意外とぱ行がないな」
「ぱ?」
「ぱぴぷぺぽ」
「あと1回だから、多く見つける必要はないけどな」
「一個だけでも見つけておけばいいよね?」
そう言いながら「ぱ」から始まるものを探す。
「ぷ、もない」
「プールは?」
私は教室の窓からプールを照らした。
「あっ、そっか」
「ペ、は__?」
【ペ】のつくものを探そうとした時、廊下から足音が聞こえてきた。