流星と星奈は保育園に通ってないし、もちろん自分に夫などいない。

嘘で塗り固めた先にあるのは虚しさだけなのに、自分はこういう生き方しか知らない。

思わずうつむいてしまいそうになったその時、鳴海憂雅に声をかけられた。



「はあ、健気ですね奥さん……昼飯なんてカップ麺でいいのに」

「そんなこと言って、憧れるんでしょ?健気で優しい、“初恋の壱華さん”に」

「ばっ、やめろそれ言うの!俺が殺される!……あ、すみません身内ネタで」

「いいえ、賑やかで楽しいです」



私は不思議で仕方なかった。

極道という過酷な環境で生きてきたであろう彼らが、どうしてこんな温かい笑みを浮かべることができるのか。

彼らにはヤクザ特有の鋭く(とが)ったような胡散臭さがない。

はたから見ればどこにでもいる青年と少年だ。

変なの、情報だけじゃ分からないことってあるんだな。





どこか穏やかな気持ちで、夜が明ける直前まで流星群を眺めていた。