死り神の頭に、深々と鎌が突き刺さっている。


刺したのは私じゃない。


圭子の顔に振り下ろされる寸前、祐希が私の手から鎌を奪い取ると、そのままの勢いで脳天に__。


「大丈夫か?」


倒れた死り神の下敷きとなっている圭子を、祐希が引っ張り起こす。


「あ、ありがとう。助かった」


「いや、でも凄い力だ。体の大きさからは考えられない」


「それにこいつ、剣道の有段者だよ。それもかなり手練れてる」


圭子が立ち上がり、倒れて動かなくなった死り神を見下ろす。


同じ剣道をしているからか、それが分かるのだろう。


「正体を確かめる」


そう言って膝をついた祐希が、死り神の仮面に手をかける。


それを見ていた私は、怖くてその場から動けなかった。


一体、誰なの?


倒せたっていうことは、人間なの?


祐希が、静かに仮面を引き剥がす。


「えっ!?」という声を上げたのは、圭子だった。


目を見開いて、絶句している。


「…うそだろ?」


祐希も驚いた様子で、固まってしまった。


2人とも同じリアクションということは、知っている人なの?


ようやく足が動いたその時、床がグラリと揺れる。


あっ、元の世界に戻る…。