2人が対峙をする。


前回は、死り神を負傷させることができた。


祐希も「あれは人間じゃないか?」と言っていたし、逆に殺すこともできるんじゃ?


圭子が途中で諦めたように見えたのは、この時に備えて体力を温存していたからだ。


死り神を殺す時に備えて…。


「ここじゃ狭い、廊下に出なよ」


竹刀の先を突き出しながら、圭子が死り神に宣戦布告をし、廊下に出て行く。


同じように廊下に出る死り神は、やっぱり私たちの言葉が分かるんだ。


私たちも、引き寄せられるように教室を出る。


その途中で、足元に落ちていた鎌を拾った。


村井先生や良一を刺し殺した鎌だと思うと、手の震えが止まらない。


でもこれで、圭子を失うわけにはいかないんだ。


両手で握りしめたまま廊下に出ると、圭子と死り神は距離を保ったまま対峙していた。


圭子がすり足で動けば、さっと死り神も動く。


「こいつ……有段者だ」


竹刀の先を細かく動かしつつ、圭子が言った。


有段者ということは、同じ剣道をやっているということ?


圭子が前に出れば、死り神は引く。


逆に死り神が飛び出すと、圭子が退く。


しかし一進一退の間合いが動いたのは、突然だった。