『それでは、死りとりゲームを始めましょう!』


私たちは異空間にやってきた。


でもなんだか空気が悪い。


「ねぇ、あの2人どうしたの?」と圭子が、愛海と良一を交互に見やる。


2人ともそっぽを向いており、目を合わせない。


「色々あって」としか答えられず。


「大丈夫なの?」


「ゲームに影響はないと思うけど…」


『それでは【け】から始まるものを見つけて下さい!よーい、スタート!』


死りとりゲームが始まった。


でも__愛海は動かない。


不貞腐れたようにあさっての方を向いて、クリアしようという姿勢が感じられない。


ただ良一とゲームをしたくない気持ちは分かるけど、失格すれば死り神に殺されてしまう。


「愛海?早くしないと」


私が声を掛けたけど、返事はない。


時間だけがどんどん過ぎていく。


「おい、ちゃんとやれよ」


我慢できなくなったのか、良一がここにきて初めて口を開いた。


「なによその言い方」


「皆んなが迷惑すんだよ」


「彼女に向かってそんな言い方ってある?」


ゲーム中だというのに、2人はまた喧嘩を始めようとしていた。


慌てて止めに入ろうとしたけど__すぐにピタリと止まったんだ。


「もう別れてくれ!」という良一の言葉で。