良一が駆け寄ってきた__倒れている怜華のほうに。


「ちょっと!そんな女を助けるわけ!?」


「愛海、突き飛ばしたじゃねーかよ!」


「そ、それはそいつが生意気なこと言うから!そもそも人の彼氏に__」


「そういうところだよ!」


良一が声を荒げた。


いつもは愛海の尻に敷かれている良一が、大きな声で遮ったんだ。


これには愛海も驚いている。


「すぐに怒るし、人の話聞かないし、機嫌が悪くなると元に戻らねーし!」


「…良一」


「今回のことだって、勘違いだって何度も言ってんのに、俺の話なんか聞こうともしない。そもそも俺のこと信じてねーんだろ!?」


これまでの鬱憤を晴らすかのごとく、良一が愛海を責め立てる。


優しく怜華を引き起こしながら。


「そ、その女の方がいいわけ!?」


「だからそういうことじゃないんだよ!」


「どういうことよ!ちゃんと説明しなさいよ!」


「もういい」


良一が背を向ける。


「えっ、良一?ちょっと…」


「古城とのことは誤解だったけど、誤解が本当になるかもな」


「な、なによそれ!」


「行こう」


良一が怜華の手を引いて行ってしまう。


最悪の結果だ。


私はどうすることもできずに、2人の背中を見送った。