「や、やめて!」


私が飛び出したその時、祐希はポケットから取り出したものを突き出した__。


「うさぎ」


と、言って。


えっ?


転びそうになるのをなんとか堪えて『それ』を見上げる。


確かにそれは『うさぎ』だった。


うさぎの形をした、ネックレス。


『クリアです!』


「なんだよ!ビビらせんなって!」


良一が、大袈裟に祐希の肩を叩く。


叩かれた祐希は笑顔で、抱いていたうさぎに頬擦りをしていて、私はもう何が何だか…。


「次、祐美の番だよ」


圭子にそう言われるまで、放心していたくらい。


だって、てっきりうさぎをめった刺しにするものとばかり…。


あんな優しい笑顔でうさぎに微笑みかけるなんて、昔の祐くんにしか見えない。


しかも、うさぎの形をしたネックレスなんて。


ギャップにも程がある!


少し腹が立って睨みつけていると、祐希と目が合ってしまった。


「悪い、【ぎ】で終わって」


祐希が私に言った。


難しい言葉で終わってしまったことを、謝ってる。


私のことを気遣ってるんだ。


それだけだなんだか嬉しくて__私は校舎に駆け出した。


目指すはあそこだ!