「その独り言から察するに計算は合っていますよ。
間違いなくあなたの子でしょうね」

山崎さんは笑いながらそう言うと、「今二ヶ月ですよ」と、妊娠週数の数え方を説明してくれた。

それによると、亜里沙は今8週目になるそうだ。

とても不安定な時期で、流産の可能性があるため入院したと聞かされて血の気が引く思いだった。


流産?


俺の子が死ぬっていうのか?

亜里沙に何もかも背負わせて、このうえ子どもまで流産したりしたら、彼女の心の傷は計り知れないだろう。

冗談じゃない。

妙な胸騒ぎがした

訳の分からない苛立ちと喪失感が込み上げてきて、じっとしてなどいられなかった。

山崎さんには明日の朝と言われたが、すぐにでも病院へ行かなければと思った。

何故そう思ったのかは自分でも解らないけれど、何か大きな力に背中を押されるような感覚が俺を支配していた。

第六感とか、虫の知らせというやつなのだろうか。

今すぐ行動しなければ、また亜里沙がどこかへ行ってしまう気がして仕方が無かった。