「蜜葉、最初にこれだけは言っておくが蜜葉は俺にとって一番大切な人だ。蜜葉を裏切るようなことは決してしていない」

「……結斗さん」

「確かに父から見合い話が前からあったのは、事実だ。だけど俺はそれを断り続けていた。なぜなら愛のない結婚を受け入れることができなかったからだ。結婚をすれば会社の発展には繋がるだろうが、相手の女性を幸せにする自信がなくてね」

静かに私の目を真っ直ぐに見ながら結斗さんが話し始めた。

「だけど父は反発する俺を良くは思っていなかった。そして、なかなか身を固めようとしない俺についに業を煮やして、今日その見合い相手との顔合わせの場を勝手にセッティングしていたんだ」

「え?」

「父に重要な仕事の話があると言われて、あるホテルのレストランの個室に呼び出されてね」

頭に浮かんだ夕方の光景が浮かぶ。やはりあの綺麗な人が結斗さんの見合いの相手だったんだ。

「それで……どうなったんですか?」

鼓動がトクンと高鳴り出したのを感じながら話を続きを待つ。