リリエラ様と選んだ生地やデザインで頼んだドレスが仕上がってシャロン公爵邸に届いたのはなんと一週間後であった。

 頼んだうちの半分が仕上がって届くという驚異のスピードに内心で驚いたのは言うまでもない。

 私のデビュタント用のドレスだって頼んで仕上がるまで二ヵ月掛かったのにと、次々と仕上がったドレスを見せられて内心困惑していると、リリエラ様がニコニコとドレスを見て満足そうにしている。

 「超特急で頼んだかいがあったわね。これで、今後ハルバートに来ている夜会等のお誘いには厳選したものに出席してシャルロッテをお披露目していきましょう。もちろん、この公爵邸でもお披露目の夜会をしますからね」

 どんどん婚約が確定するように話が進んでいるけれど、本当に良いんだろうか?

 ここ数日はハルバート様もお仕事で忙しいらしく、帰宅は私が寝てしまった後。
 なので今は顔を合わせるのは朝食のタイミングでのみ。

 仕事に行かなければならないハルバート様は、朝にはそこまで時間もないのであまりしっかり話すこともなく……。

 本当にこのままの勢いで結婚まで進みそうな状況をハルバート様は良しとしているのか、確認できていない。


 私が来たあと数日は夜会にもお顔を出していたが、その後はぱったりと夜会にも行かなくなり、お仕事に忙殺されている感じだ。

 宰相補佐というお仕事柄、お忙しいのは理解できるし彼は実家の実業である商会の仕事もあるのだ。
 仕事は待ったなしだろうし、その量が多くあるのは理解できる。 
 昨日聞いた話ではあまりにも今が忙しいので、領地運営は代わりにフィリップ様がお手伝いしているという。

 本当に多忙な方だなと思いつつ、いつしっかり話せるのやらと思っていたら数着のドレスの試着中にハルバート様がやってきたのだ。

 それは実に一週間ぶりに昼間にお屋敷で合うハルバート様であった。
 精悍な顔に少しの疲れは見えるものの元気そうな姿にホッとする。