朝の6時30分。
この時間に目覚ましをかけてるんだけど、起きれる気配はまったく無い。


ジリリリリ…。


目覚ましを手探りて探し、やっと掴んで、止めた。


「……くさっ!!」


ガバッと起き上がり、鼻をつまむ。


な、なに?この匂い。


「あ、おはよう。 愛」


私の名前は主井愛(おもいあい)。
あまりの匂いに涙目になっている。


「な、なにしてんの? 恋」


私の目の前にいるのは、私の双子の兄の恋(こい)。


二人の名前を合わせると、“恋愛”になる。
まったく、うちの親は、面白い名前をつけてくれたもんだ。


「ああ、いつもの」


「香水の調合?」


恋は、自分で香水の調合をするのが好きなのだ。
昨日、私の香水を作ってくれるって言ってて、恋の部屋にきて…


「私、そのまま寝ちゃった? 恋のベッドで?」


「うん、試行錯誤して、やっと…今できた」


恋は、私に香水の瓶を渡した。


「ありがとう…まさか、徹夜で?」


「そのまさか。 …おやすみ。 …ぐー」


「だだだだだだだ…だめー!今日から学校でしょ!」


今日は4月4日。
今日から私達は高校二年生になる。


「んぁ…そうだった。 やべ…淳の分の香水作るの忘れた。」


「誰よ、淳て。」


ん?あれ?
もう、7時!?


うっそぉ!?


私は慌てて、ベッドから飛び起きた。


「恋、ベッド使ってごめんね! 私、自分の部屋に戻って準備するから!」


そう言って部屋のドアを閉めた。


自分の部屋に戻って、制服のシワをチェックして、OKだったら服を着て。


ソックスは黒。
バッチリメイクして。
髪巻いて。


全身鏡でチェックする。