暁が私のことを好きになってくれることはない。



それなら、暁のことを好きでいたってしょうがない……。



まだ気持ちが大きくないうちに、この気持ちに蓋をしよう。



「私はね、暁とるいさんの仲を壊すわけじゃないなら、好きでいるのは全然いいと思うんだよね。でも……みゅーは辛いよね。ごめんね、無神経なこと言って」



沙良ちゃんは申し訳なさそうな視線を私に向ける。



それでさらに胸が苦しくなった。



「沙良ちゃんは悪くないよ。私が、暁のことを好きになっちゃったから……それをただ無かったことにすればいいだけだもん。私は大丈夫だよ!」

「みゅー……っ!」



沙良ちゃんは突然私を抱きしめてきた。



その力は痛いくらい強く……おかげで、私は胸の痛みを感じなくてすんだ。



暁への恋心に気づいた今日、沙良ちゃんがそばにいてくれて本当に良かったと思った。



私は男の子から距離をとるうちに、自然と女の子からも距離を置いていた。



だから今まで……仲の良い友達もいなかった。



今日、改めて友達という存在の大きさに気づかされた。