「嬉しい……？」

「そりゃあ、みゅーに初めて好きな人ができたんだよ？嬉しくないわけないじゃん」



沙良ちゃんは私の目をまっすぐと見つめ、満面の笑みを見せてくれた。



「恋愛経験豊富なわけじゃないけど、私だってそれなりに好きになって、付き合って、別れて……って繰り返してきたから、恋する楽しさもみゅーよりは分かってるつもり」

「……」

「誰かのことを好きになると、自分も成長できると思うんだよね。だから、彼女がいてもいなくても、誰かを好きになることは悪いことじゃないと思うよ」

「……るいさんが、傷ついても……？」



＂るいさん＂というワードで、沙良ちゃんの表情が一気に硬くなった。



「いつか誰かを好きになれる日が来たらいいなぁって思ったこともあったよ。でも、誰かを傷つけることになるなら……私はこの気持ちを消したい」

「……」

「まだ気になってる程度だから、きっとすぐに諦められると思うんだ」

「みゅー、本当にそれでいいの？」

「……うん」

「そっか……」