「っ朱里おはよ!聞いた今の話!?」
「ちょっと莉菜、近い近いっ」
「んもう、朱里はドライなんだからっ。ヤバいよね補導って!レナ週5とかで通ってたらしいし!」
誰にも拾われることなく苦い顔をしたわたし、水城朱里の目の前に
カバンも持ったまま駆け寄ってきたのは、友人の笠井莉菜だった。
「でもさぁ、やっぱり麗蘭街って魅惑的っていうか、他には無いドキドキ感だから通いたくなるレナの気持ちも分かるよねぇ。朱里もそう思……」
キーンコーンカーンコーン――…
「莉菜、チャイム鳴ったよ」
「はーいっ。またあとでね!」
莉菜の話を遮るようにチャイムが鳴って
…救われた、と心の中で思ってしまったわたしは、彼女に席につくよう促す。
そのあとすぐに担任が入ってきて、ざわめいていた教室は半ば無理やり静音をつくった。