「拓巳、亜里沙。来てくれたのね。どうもありがとう」

溜息を吐いていた二人に向かって、溢れんばかりの幸せな笑みで、花嫁が駆け寄ってきた。

「陽歌、綺麗よ。こんなに急に結婚するなんて思いもしなかったけど。
…良かったね、おめでとう」

亜里沙は陽歌に抱きついて、泣きそうな表情をした。

傍から見たら、親友の結婚に感極まったように見えただろうが、それだけではないような気がした。

「ありがとう、亜里沙。あなたのおかげよ」

「私の?」

「うん、亜里沙が私が夢に見ていたあの風景を偶然見つけてくれなかったら、今、私はこうしてここにいなかったわ。
私は先生と出逢う事もなく、ずっと夢の意味を知らずに過ごしていたかもしれない。
本当に感謝しているの。…ありがとう」