「ダメだよ!」
ありったけの力で私は海璃の手を離した。

そう言いながら私の瞳から涙が零れ落ちる。
「だめ。絶対にダメ。」

「なんで?」
涙ながらに車に戻ろうとする私に海璃はいたって冷静に対応してくる。

「だって・・・ダメだよ・・・」

だって私死んじゃうんだよ?

そうのど元まで言いかかる言葉を飲み込む。

だって私は死んじゃうのに、指輪なんて買ったら、海璃の心に残っちゃうじゃん。
思い出が濃くなっちゃうじゃん!

「一緒にいられるだけで・・・充分なんだよ・・・?」
私はいろいろな言葉をのみこんで、想いを込めて海璃に泣きながら言う。