瞬きをするたびに涙がぽたぽたと地面に落ちた。

「言っとくけど、俺は別れるって認めてないからな」
海璃はどんどんと私の方へ近付いてくる。
「お前、俺の気持ちを無視すんなよ」
「・・・」
「勝手に決めんな」
言葉は厳しいのに、海璃の言葉にはぬくもりがある。

温かく優しいぬくもりが。

海璃の表情も、穏やかで優しい。

どんなことでも受け止めようという海璃の想いが現れていた。

「・・・なんで・・・?」
「なんでって、俺は京香の彼氏だからだよ。」
「・・・なんでスーツ?」
「そこかよ」
何から聞いたらいいかわからずそんなことを質問した私に海璃は笑った。