もしも子供が産まれても、それでも私は子供を保育園に預けて仕事をしていたんだろうなと想像すると、少し笑えた。

そんな未来はもう来ないとわかっているのに、想像しただけで少し幸せな気持ちになれる。

最後だからと私は自分の机に座った。

ここから見える景色も、これで最後だ。

まっすぐ正面にあたる席に海璃の席がある。

ここから海璃を見ていた。

どうして定時で帰って、朝も遅刻ギリギリに出社してくる、歩くのも遅いあの人が私と同じような成績を収められているのか不思議で仕方なかった。
そこが、海璃に興味を持ち始めたきっかけだと思う。