「お前」
「ん?」
眉間にしわを寄せる海璃はデスクから立ち上がった。
「ごめん、せかしてるわけじゃないから。私、今日進行役だから。」
私は海璃をせかしてしまったかと慌ててその場を離れようとした。

ライバルのデスクを偵察していたとは言えない。

「違う」
まだ険しい表情のままの海璃。
「なんですか?」
周囲の目を気にして敬語にする私。

「具合悪い?顔色悪い」
海璃が伸ばした手に私は思わず周囲を気にして後ろに下がり距離をとった。

「そう?」
ごまかして離れると私は海璃と距離をとったまま、もう一度「会議、よろしくお願いしますね」と伝えて背中を向けた。