「菜花おはよー!体調大丈夫ー?」

名前を呼ばれて顔をあげれば、光莉たちが私のことを心配して席まで来てくれた。

「おはよう。うん、もうだいぶ良くなったよ!心配かけてごめんね」

わざわざ心配してくれるみんなに隠し事してることにかなり罪悪感。

「元気になってくれてよかったよ〜まじで数時間菜花が教室にいないだけでつまんないもん」

「光莉……ありがとう。でももう大丈夫だから」

普段ならそこまで辛くないのに。
絶対夏目くんという巨大なストレスが降ってきたせいだ。

「それにしても見たかったな〜お姫様抱っこして菜花を保健室に連れて行った夏目王子」

「いや、光莉、話だいぶ変わってるんだけど……」

「そういえば夏目くんってさ」

光莉だけじゃなくてバレー部の雪ちゃんも彼の名前を口にした。

昨日、夏目くんの話は終わったと思っていたのにまた話題が彼になるので内心ムッとする。

夏目くん、夏目くんって、みんなが思ってるような人じゃないよあの人。

そう言ってやりたいのに、昨日彼にされた予想外の親切を思い出して言葉を飲み込む。

助けてもらって良くない話を言いふらすのは違うと思うし。嫌いだけど。