「ーき…多岐!」


うお


「何」

「何じゃねぇよ馬鹿、ぼぉっとしやがって気持ち悪りぃ」


あ?


「このクソ茂木」

「クソ多岐」


もう笑顔でもなんでもなく、ただただ睨み合う


「お前ら仲悪いな」


犬飼が呆れたように言った


「ま、欲しいもんが一緒なんで」


…は?

茂木が淡々と言った言葉に思わず顔を歪める


「なんだよ欲しいものって」


「はぁー?お前馬鹿なの?アホなの?両方か」


う、うっぜぇぇぇ…


「お前聞いてたんだろ?俺が間部を好きって言ったの」


はあ

聞いてたけど?


「それでイライラしてたんだろ?」


そりゃイライラするだろ


「普通に考えて嫉妬だろ?お前まさかわかってなかったわけ?」


…は?

嫉妬?


俺はお前が嫌いだからイライラしてたんじゃ…

ない、わけ…?


「あーやだやだぁこれだから世間知らずは。チヤホヤされて生きてきたんだろクソ多岐」


一言多いんだわクソ茂木


「あーなるほどー多岐は気づいてなかったのか」


はぁ?

なんだよ犬飼まで



「要するにお前は間部が…」

「先生ストップっすよ」


は?


「俺的にはこいつが気づいてない方が都合いいんで」


なんだよ都合って


「おいクソ多岐」


あ?


「ぼーっとしてたら奪うからな」


は?


俺を馬鹿にするような目で見たあと、茂木はさっさと背を向けて行ってしまった


「あーあー鈍いのは間部だけじゃないのか」


犬飼もクスッと笑って同じように去っていく


1人取り残されて立ち尽くす



え…


マジで何?