「ん……」
幸せに浸っていると、ふゆが薄らと目を開けた。
「ふゆ、起きた?」
寝ぼけているのか、甘えるようにふわりと微笑んで「海くんだ」と言ってくる。
いや、むり。かわいすぎて一生分の幸せ使ってるかもしれない。
「寝るなら部屋行きなー」
「海くん……」
緩慢な動作で起き上がったふゆが眠たげな目で俺を見つめて腕を伸ばしてくる。
「どうしたー?」
「眠い」
「え」
そのまま俺にもたれかかるように抱きつくと、首筋に擦り寄ってきた。
たぶん、いや絶対寝ぼけてるな。
「おーい、ふゆちゃーん」
俺の心臓今バクバクなんですけど。寝ぼけているふゆには伝わらないでほしい。
「海くん、会いたかった」
「……は?」
ふゆがこんなことを言うのは、滅多にない。俺に素直に甘えてくることなんて告白してくれたときくらいだった。
……これ夢だったらどうしよう。夢でも幸せですけど。