竜「下の子は、横浜で育てる。俺たちだけの力では、上の子を育てる事が出来ないから、上の子は、香港煌家で、特に力の強い虹龍と共に修行する事になr…」

竜牙が全て言い終わる前に、パシンッ!と乾いた音が竜牙の左頬を赤く染めた。
それは、桃花から、怒りを込めた、初めての平手打ちだった。
その行動に、その場にいた、全員が唖然となった。
特に竜牙は、何が起こったのか、解らず、ヒリヒリする左頬を擦っていた。

桃「…んで…のよ…。」
竜「も、桃花…?どうした?」
桃「どうした?じゃないわよ!何で、そんな大事なこと黙って、1人で全部決めるのよ!!あたしたちは、この子たちの親なのよ!?昔だって、そう!
あたしに黙って、龍を降ろしに香港へ行ったじゃない!あの時だって、どれだけ不安だったか、分かってるの!?なかなか帰って来ないから、1から修行のし直しをしているんじゃないかって、ずっと自分に言い聞かせていたのに…。」
怒りで、我を失い、肩で荒い息を繰り返してる
竜「それは、悪かったと思ってる。でも…、お産で頑張ってる桃花を見たら、何も言えなくなって…。ごめん。でも、いきなり叩く事は、ないだろーが。」
桃「…っ。何よ。勝手すぎるよ…。」
やはり、当たってしまった。その結果に、桃花は、悪態をつき、悔しそうに下唇を噛み締める様は、
まるで小さい子どもが泣くのを堪えているようだった。

その様子を見兼ねた虹龍がヤレヤレと肩を竦め、桃花の手を取り、宥める様に、こう言った。

虹「桃花、何も今生の別れじゃないんだ。この子が、自分で力を制御(コントロール)出来るように、手助けするために、少しの間、預からせてほしいんだ。もちろん、武術と呪術もきちんと教え、自分1人ででも立てるように、鍛えるから。」

虹龍のその言葉と真っ直ぐに、己と向き合い、深い藍色の瞳が嘘を言っていないと分かった桃花は、やっと落ち着きを取り戻す事が、出来た。そして、ゆっくり瞳を閉じ、息を深く吐き、気持ちを落ち着け長い沈黙の後、再び開いた時には、凛とした、母親の表情に戻っていた。

桃「…そうだね。竜牙の言う通りかも。ゴメンね、カッとなって…。じゃあ上の子は、虹龍さんが、鍛えてくれるの?」
虹「ああ。話しは、全て通ってるから、心配するな。」

久しぶりに優しく笑う虹龍を見て、その場にいた全員の空気が和やかになった。

虹「竜牙が、珍しく俺に頭を下げたんだ。桃花以上に、相当の覚悟があったみたいだ。」
竜「虹龍!!///」
春・長((竜牙が、照れてる。珍しい事もあるんだな。(のね。))
桃「それじゃあ、よろしくお願いします。」

そこには、早くも母親の顔をした桃花がいた。

虹「確かに、預かりました。」