違う……これは、多分友達とか、そういう意味での好きだ。
花絵はあの日抱きしめられていた男のことが、きっと……。
「ちょっと待て。場所移動するぞ」
とにかくギャラリーが鬱陶しすぎて、花絵を抱えた。
ふたりになれる場所に行こうと、歩き出す。
「どけ」
「ひっ……!」
花絵に群がっていた男たちをかき分け、俺はいつもの空き教室へ向かった。
「花絵」
ソファに座らせた花絵は、まだ泣いている。
「うっ、ううっ……」
「花絵、泣くな」
もしかすると……俺が急に避け始めたから、戸惑わせたのかもしれない。
花絵は少なくとも、友達としては俺のことを慕ってくれていたと思うから……。
「水城くんっ……」