私はスカートのポケットからハンカチを取り出し、それで血をぬぐった。


2本の犬歯が突き立てられた跡がクッキリと見えて顔をしかめた。


相手は野犬だ。


どんな病気を持っているかわからない。


あたしは片手で傷口を抑え、そっと土管の外を確認した。


公園内は街灯で照らし出されているけれど、野犬の姿は見えなかった。


すぐに土管から抜けだし、水道へと向かった。


水は凍えるほど冷たかったけれど、傷を放置するワケにはいかない。


ハンカチを水に浸してそれで傷口を丁寧に拭いていく。


傷口を抑えていたから血は止まったようだ。


ひとまず安心して土管の中へと戻る。


土管の中で横になってみても、今日はもう眠れそうにない。


風が吹くと寒さで体が震え、傷口の痛みを我慢しながら朝を迎えたのだった。