「唯香しっかりして!」


目の前でパンッと手を叩かれてようやくしっかりと桃菜あの顔を見ることができた。


「桃菜……あたし……ターゲットだって」


「うん。ここにいちゃダメ」


「え?」


「ターゲットになるのは明日からなんだから、それまでにどこかへ逃げないと!」


桃菜に言われてそう言えばそうだと考える。


ここでボーっとしていては、いつ捕まってもおかしくない。


「あのさ……桃菜のお母さんって……」


そこまで言うと、桃菜はうつむいて下唇を噛みしめた。


「……掴まって食料にされた」