不機嫌丸出しの夏海ちゃんは、2人を睨みつけている。



「はー? うるさいとか酷くない? あんたがどっか行けば? っていうか僻み?」

「は? 誰が誰に僻むの? あたしがあんたに僻む要素はどこにあんの?」

「煌貴、この人こっわーいっ」



甘えるような声を出し、こうくんの腕にしがみついた松沢さん。

……っ。



「ほっとけば?」



こうくんはその腕を振り払うこともせず、むしろ松沢さんを肯定する言葉を吐いた。

突然、どういう心境の変化だろうと思ったけど……。

……そういうことなの、かな。

……だってこうくん、松沢さんのこと可愛いって言ってたもんな……。

多分きっと……好きになったんだと思う。

決して私を好きだと言ってくれた、こうくんの言葉を否定するわけじゃない。

でも……そうとしか、説明がつかない。

いくら十数年間私のことを想ってくれていたとしても、それがずっと続くわけなんかないんだ。



「……あんた、見損なった。一応あんたの気持ちだけは認めてたのに」