笑顔で「それよりこうくんのおかず美味しそうだね」なんて言って、話題を逸らそうとしてくる始末。
こうなったら、俺も意地になってしまう。
絶対真由に言わせてやる……俺を縛る言葉を。
不本意だけど、もうしばらく転校生の相手をすることになりそうだ。
俺は、真由の周りの男全員に嫉妬してしまうくらいずっと悩まされてきたから、真由にも少しくらい、俺の気持ちをわかってほしい。
そしてあわよくば、俺に対して幼なじみじゃなく、男としての好意を見せてほしかった。
不特定多数の女なんかどうでもいい。
俺は、真由にさえ好かれていれば……もう誰からも好かれなくていいから。
――そう、思っていたのに……。
今になって思えば、このときの俺は本当にバカだった。
好きな女の気を引きたくて、他の女と仲睦まじくしている様子を演じるなんて。
そんな幼稚な行動のせいで――真由との間に亀裂が入るなんて、この時はまだ知る由もなかったんだ。
真由がどんな気持ちで笑顔を作っていたのか……誰よりも真由を好きなはずなのに、俺は少しも気づいてやれなかった。