「こ、こうくんっ……もう10秒経ったよ……!」

「……ん」



止めるまで、こうくんは絶対に自分から離してくれない。

私が言うと、名残惜しそうに手を離してくれた。



「おはよ、真由」



至近距離で微笑まれ、ドキッと胸が高鳴る。



「お、おはよう……」



間近で見るこうくんの綺麗な顔は、心臓に悪いっ……。

こんな感じで毎朝、私はドキドキさせられっぱなしだ。

いつものように2人で登校すると、なんだか教室が騒がしかった。

特に男の子たちが、ソワソワしながらみんなで集まっている。



「今日転校生来るらしいぜー」

「え、それって女? 男?」

「女だって!」

「マジで!? 俺、可愛い子希望!」



聞こえてきた言葉に、私は首を傾げた。