中崎くんの気持ちが伝わってきて、私まで苦しくなる。

恋愛……か。



「でも……そんなの、中崎くんに悪いよ……」

「そんなことないよ……! 俺は、花咲さんといられるなら、それだけで嬉しい……」



さっきよりも顔を赤らめて、そう言ってきた中崎くん。

私なんかのために、ここまで言ってくれる人……もう現れないかもしれない。

そう思うくらい中崎くんの瞳が真剣で、目を逸らせなかった。

 “お試し”というのは、なんだか中崎くんに申し訳ないけれど……。



「えっと……」



私もそろそろ、恋愛をしたほうがいいのかな……?

中崎くんの勢いに押され、どうすればいいのか悩み始めたときだった。



「真由!!!!」



私たちだけだったはずの中庭に、聞き慣れた人の声が響いたのは。

けれどその声色は、聞いたことがないような、焦りと怒りを含んだものだった。