恥ずかしさから、高瀬の顔をまともに見れない。

「とりあえず今日のところはこれで許してあげるけど」

スッと体を屈めて、耳元でゾクゾクするような低い声で囁かれる。

「今度はこんなんじゃ済まさないからね?」

──ドッドッドッドッ

高瀬の体が離れても、わたしの心臓の鼓動は収まるどころか速くなっていくばかり。

醸し出す雰囲気も、前髪をくるくるいじる指先も、吐き出される呼吸でさえ。

高瀬のすべてに──溺れていく。

意識が全部持っていかれたまんまの状態で、わたしはまだこんなにもいっぱいいっぱいなのに。

「帰ろ。送ってく」

そんな何事もなかったかのようにしないでほしい。

「たまちゃん? へーき?」

「へーきじゃ、ない……っ」

「はは、ちょっと刺激が強すぎたかな」

ほらね、こっちの気も知らないで平然と笑ってる。

それが高瀬。

高瀬は友達。

高瀬は友達……。

高瀬は友達……っ!

それ以上でも以下でもないんだからっ。