だから、穂波が謝る必要はないんだよ。

「穂波。わたしね、西河のことが好き……」

「うん……」

「でももう諦める。すぐには無理だけど、いつか笑って応援できる日がきたらなって思ってる……」

「うん……。環……あたしも、陽太が好き。中学のとき、環に相談しようかなって思ったんだけど、言えなくて……ごめん」

「ふふ、穂波ってば。もう気にしてないよ? だから今後謝るのは禁止!」

「環……」

再び穂波の背中にギュッと抱きつく。

すると、穂波もキツく抱きしめ返してくれた。

「さっきはスマホありがとね……。環がああ言ってくれてるの聞いて、あたし、嬉しかった……」

「いや、うん、気づいたら無意識にね。許せなくてさ」

「ありがとう。環大好き」

穂波の体が震え出した。

「もうなにを言われても大丈夫。環がほんとのあたしを知ってくれてるから、他の人にどう思われても、どうでもいいや」

「穂波……」

もしかして、今までにもいろいろ言われたりしてたのかな。

「あたしはあたしだもんね。あたしには環がいればそれでいいっ……っ」

お互い本音を言って抱きしめ合ってた体を離すと、ふたりとも目が真っ赤。

穂波に至っては鼻水まで出てる。

「あはは、穂波顔ぐちゃぐちゃ」

「う〜、環だって〜!」

顔を見合わせて久しぶりに思いっきり笑った。