なんで、手なんか繋いでるの……?

「あのね、今日は環に報告があってきたの」

ロングストレートの黒髪を耳にかけながら話す穂波の姿が、やけに色っぽく見える。

報告……?

頭ではなんとなくわかった。

ドクドクと速くなる鼓動に、嫌な予感が拭えない。

「あたしたち、一週間前から付き合ってるの」

穂波の声にズドンと重い衝撃が全身を襲った。

グラグラと目の前が揺れて、立っているのもやっと。

「なんか改めて言うと恥ずいよな」

白い歯を見せて笑う西河(さいが)は、照れくさそうに頬をかく。

ピンクのオーラをまといながら見つめ合うふたりを見て、胸がズキッと痛んだ。

やっぱり……そういうこと。

いつの間に……?

美人な優等生。穂波をひとことで表すなら、そんな感じ。

絵に書いたようないい子で、見た目だけじゃなくて性格もいい。

ねぇ、付き合ってるって……なに?

冗談でしょ?

お願いだから、うそだと言って。

じわじわと痛みが全身に広がっていく。

聞きたくなかった。知りたくなかった。