急いでページをパラッとめくると、見開き二ページにわたって水族館でのデートの様子が掲載されていた。


「花崎さん、例の記事、載ってるね」


春香が隣でニコニコしながら記事を読む。優莉の目の前で読まれるのは、なんともいえず照れ臭い。後でこっそり読んでほしいが、そうもいかない。周りでもみんながいっせいに開いて騒ぎはじめるから、いっそここから逃げ出したくなる。


「水族館に行ったんだ。うわぁ、この写真を見たら社内の女子たち、相当やきもきするだろうなぁ」


春香が指差して言うのは、巨大水槽の前で顔を寄せ合って撮影した写真だった。ぎこちない笑みを浮かべる優莉と爽やかな笑顔の隼だ。

たかだか一ヶ月半前の出来事なのに、なぜだかものすごく昔のような不思議な感覚に包まれる。それはもしかしたら、このときと今とではふたりの気持ちが全然違うからなのかもしれない。


「そういえば田町さん、前回のデート企画が載ってる社内報って残っていますか?」


男同士で行ったデートというのをぜひ見てみたいと春香に尋ねた。