活発な意見が飛び交う中、はじめてミーティングに参加した優莉は傍聴者と化して圧倒される。
次回までに各自がさらに案を煮詰め、それぞれ持ち寄ることとなりお開きとなった。


「花崎さん、なにかアイデアある?」


ミーティングルームを最後に出ると、ドア付近で待っていた門倉が声をかけてきた。


「ううん、みんなの話を聞いているので精いっぱい」
「だよな。俺も」
「でも、なんとか次回までにアイデアを出さなきゃね」


わからない、できないでは済まされない。門倉と優莉は若さならではの意見を求められて異動となったのだから。


「そうだな。よし、俺もがんばるぞ」


門倉と互いに励まし合いつつ事業部のフロアに戻ると、春香が紙袋を抱えてふたりに近づいてきた。


「はい、これ。ふたりもどうぞ」