「門倉くん、どうしてここに?」


彼も店舗勤務である。


「花崎さんこそ」


質問に質問で返された。


「私は今日から本社勤務なの」
「え、俺もだよ。どこの部署?」
「私はレストラン事業部」
「マジか。俺もそこ」


なんと門倉も同じ部署に今日から配属になったという。


「ほんとに?」


ひとりで見知らぬ場所に乗り込むより、同期の仲間がいる方が断然いい。


「ああ」
「よかった。ひとりでちょっと心細かったの」


気合を入れたつもりではいたが、門倉が一緒だと知って肩から力が抜けた。つまり、それだけ力んでいた証拠だ。