これから会う人は大学時代の友達で、すでに結婚して子どももふたりいるという。
隼がインターフォンを押すと、すぐにドアが開けられた。すらっと背の高い、甘いマスクの男性が顔を覗かせる。


「よっ、久しぶりだな」


爽やかな笑顔がとても眩しい。隼とは優劣をつけるのが難しいほど素敵な男性だった。絵になるふたりはファッション誌に出てくるモデルのようだ。

隼と手を繋いだまま玄関の中に招き入れられた。


「おぉ本気で連れてきたか」


優莉を見て彼が目を丸くする。


「本気って、連れてこいって言ったのは亮介(りょうすけ)だぞ」
「そうだったか?」
「ずいぶんと記憶力が鈍ったな」


優莉がふたりのやり取りに圧倒されていると、奥からスリッパの音が聞こえてくる。


「隼さん、いらっしゃい」