支払いは隼がすると言うのだろう。


「でも」


ほとんどが優莉のものなのに払わないわけにはいかない。


「ここはいいから」


優しく制され、「よろしくお願いします」と引き下がり言われた通り車で待った。
ほどなくして戻った隼は買ったばかりの飴の袋を開け、その中からひとつを優莉に差し出した。


「ありがとうございます」


飴玉ひとつなのに妙にうれしい。こんなときだからなおさらそうなのかもしれない。


「それだけで笑顔になるんだから、キミはちょろいな」
「なっ、ひどいです」


意地悪を言っておきながら、隼の顔がやけに優しい。

もしかして元気づけてくれたの?

心がくすぐられた直後「小学生と同じだ」とからかわれ、すぐに優しさとは違うと思いなおした。