あいつだって、“サラ”とやらを南たちと取り合っている。同じ穴のムジナだ。
ただまあ……その伝言を頼んだやつらというのは厄介だな。
しかも、そいつら3人は由姫と親しいらしい。そいつらと由姫、そして新堂の5人で連んでいるとか。
身近に敵がいると知った以上、油断はしていられない。もとより、していないけど。
けど、今はこれ以上由姫の気持ちを無視するわけにはいかないからな……。
恋人とやらと別れるまでは、まだ由姫も新しい恋愛に踏み切るつもりはないんだろう。
そいつと別れた時は……もう容赦しないけど。
風呂に入って、適当に飯を済ませた。
父親から渡された大量の啓発本や研究教材に目を通して、暇をつぶす。
その時、本当に小さなものだったが、悲鳴のような声が聞こえた。
「っ、きゃぁーー!!」
……由姫?