「……ゆ、き?」 なぜか蓮さんが、酷く困惑した声で私の名前を呼ぶ。 でも今はその理由も考えつかないくらい動揺していて、目の前の身体にしがみついた。 「む、虫がっ……た、助けてっ……」 人はパニックに陥ると、何も考えられなくなる生き物なのだと思う。 私は今、自分が“本来の姿”であることも忘れて、蓮さんに助けを求めた。