ケータイ小説 野いちご

【完】君に惚れた僕の負け。

放課後になると俺は、なによりも急いで家に帰る。



できるだけ恋々より早く家に着いておくっていうのは俺のポリシー。



帰ったら空っぽの家より、誰かいた方が寂しくないかなって思うから。


今日も無事、一番乗り。



「ただいまぁー」



恋々の陽気な声が玄関の方から聞こえてきた。


「朱里くーん、タオルとってくれるー?」


「タオル?」



首を傾げながらちょうど畳んでいたタオルを持って玄関へ向かうと。




「な……なにそれ?雨?」



恋々はぎょっとするほど派手に頭から水をかぶっている。



「違うの。すぐ近所で洗車してる人の手元が狂ってね、んむ」


いいから早く拭けよ。


「風邪ひくだろ」



タオルを頭にひっかけてごしごし拭かれる姿は犬みたい。


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