それなら、と。

私もその体勢のまま肩の力をふっと抜いた。



「ご飯、食べてないんですか?」

「腹減ってんの?」

「いえ、私は……」

「じゃあいい。俺も減ってねーし」


そして眠たそうにあくびをして、目を閉じた。



どうしようもできなかった体温が、花平くんに分けられているようで。


人肌のぬくもりにだんだんと眠気が襲ってくる。


あれだけ感じていた悪寒が退いていくのがわかった。


暑くもない、寒くもない。

ちょうどいい、暖かさ。




結局、暖房はつけられていなくて。


次の日に全快した私がそのことについて尋ねても、花平くんははぐらかすだけだった。