脳裏に、血塗れ姿の由愛と颯太がよぎったが、耳元の虫を追い払うように、頭を振った。

なにも考えない、考えない。
今は雅彦が目を覚ます事だけを考えるんだ。

環奈は自分自身に暗示をかけるようにそう繰り返した。

校門前には昨日よりもたくさんのマスコミがいた。甘いお菓子に群がるアリのようにざわざわと動き回っている。

「二日続けて死亡事故が起きた生徒の通う高校前です。一体この高校で何が起きたのでしょうか?」

女性アナウンサーが物々しい表情でカメラに向かって、語りかけるように言う。